四竜帝の大陸【青の大陸編】
我の返答は<黒>には予想の範囲内だったのだろう。
<青>と違って異議を唱えたりしなかった。
<青>より長く生きているので、我の事をあれよりは理解している。
我は竜族の味方ではない。
人間の味方でもない。
 
今の我はりこのモノなのだ。

「ふふふっ……そう仰ると思っておりました。で、もう一点。こちらのほうが私個人としは気になっているのですが」

ほう。
竜帝が‘個人’としてか。
珍しい事だな。
竜帝は帝位に付くと同時に‘個’で居られなくなるからな。

「ヴェルヴァイド。貴方なら異界の娘を、人間の雌を孕ませられますか?」
「……それが貴様の本題か。ベルトジェンガ」

先代の<青>は竜族のつがいに、極稀に人間がなることに着目した。
竜族の減少に、人間を利用できぬか考えた。
竜族の雌は進化の過程で繁殖能力が劣化し、卵子を決まった時期にしか作れない。
つがいに出会い、竜珠を交換することで卵巣が活発化し排卵する。
蜜月期中しか、妊娠できないのだ。
それに比べ。
人間の雌……女は非常に高い繁殖能力を持ち、毎月排卵し毎年子が産める。
先代の<青>は。
人間の女の腹を使って、竜族を効率的に増やすことを思いついた。
混血となろうと、竜の血が絶えるよりはましだと。
その研究に先代は没頭した。
狂人のように。
人買いから人間の女を買い漁り。
徹底的に調べ、壊し。
人体実験を繰り返した。

 
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