四竜帝の大陸【青の大陸編】
「ハクちゃん……」

よし! 
ここは思い切って。
私から、キスしてみましょう!

「ハク……大好……」

ハクちゃんの首に両腕をまわし、引き寄せようとして。

拒まれた。

「へっ!?……ちょ、なんで外すのよ!?」

しかも、ハクちゃんは私の腕からすぽっと頭を抜いてしまったのだ。 

「? 何故って……これでは、ぱじゃまが脱がせられぬだろう?」

肩からパジャマをずらし、ささっと両腕を袖から抜いて、私の背を左手でひょいっと少し持ち上げて、パジャマをするりと取り去った。

「よし、‘お上手’に脱がせられた。後はこのぱじゃまを畳むのだ!」
「はい?」

私の上から足元の方へ移動し。
ハクちゃんは正座をした。
そして、無表情ながらどことなく真剣な目つきでパジャマを畳み始めた。

「!? ちょ……っ」

私達が居るのは大きなベットの上で。
新婚で、2人っきりで。
私は貴方にパジャマを脱がされて、下着1枚身に着けてるだけ。

「あ、あれ?」

つまり、胸丸出しのパンツ1丁の情けない姿で。
真っ裸で正座してパジャマを畳む、冷酷系悪役美形顔の旦那様を見ていた……。

「うむ、上出来だな! 畳むのは我ながら、かなり巧い。脱がすのも‘お上手’なのだ。そうであろう? りこ! ……りこ?」

畳むのが、巧い。
脱がすのは……お上手?
ふ~ん。
誰に‘お上手’なんて言ってもらったんでしょうかねぇえええ~?

「……」
「りこ?」

貴方の腕に抱かれてるのは、私じゃなくて……パジャマ。

「…………」

する気が無いなら、なんであんなエッチぃ脱がせ方して、エロい触り方したのよぉ~!
ボタンいじりながら、違う所もいっぱい触ってたクセに!
も……もしかして、あれは単なる偶然?
あれが貴方の仰いました『お上手な脱がし方』であって、その気なんて無かったってこと?
ぎゃあああ~、そんなあぁああ!?
する気満々になっちゃった自分が恥ずかしいっ!
勘違いしちゃった自分が、情けないようぉおおお!!

「な、なんでもない。……あははは……はあっ」

ねぇ、ハクちゃん。
やっぱり、胸がCじゃ駄目なの?
毎日お風呂でマッサージしたら、少しは大きくなるんだろうか……この歳じゃ、無理か。
もう限界まで育ってて、この胸なんだもの……。

「りこ、どうしたのだ? 自分で乳を揉んだりして……痒いのか?」
「か、痒くなんかないです! くすん……ほっといてよ」
「乳をいじっとらんで早く服を着ろ、りこ。散歩に行くのだろう?」

乳。
揉む。
痒い。
いじる。

その顔でそんな単語を連発しますかっ、魔王様ー!

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