四竜帝の大陸【青の大陸編】
ペルドリヌの聖堂で、教主の首をもぎ取った後。
国ごと消すか、民の頭を一気に刈取るか思案していたら数十人の術士が転移してきた。
我の気配と教主の異変を察知したのだろう。
それらに我への敵意は無く……あるのは強い恐怖心のみだった。

ならば望みのままに、と。
恐怖を与えてやっただけだ。

面倒なので、手当たり次第引き裂いて投げ捨てた。
それはほんの数秒で終わり、白かった聖堂内は赤く染まっていて……汚かった。
我は、ペルドリヌは消さなかった。
この聖堂の惨状を、残しておくことにした。
<監視者>がつがいの為に動いた事は、一部の者はすぐ悟るだろう。
それらの者達は世界の安寧を維持する為に、各国に働きかけるはずだ。
我を刺激しないよう……<監視者>のつがいには、必要以上に接触すべきでは無いと。
りこを……存在を諦めていた我のつがいをこの世界に落としてくれた礼に、暫しの猶予をお前等に与えてやろう。
 
今後、お前等人間がどう動くかで世界の行く末が決まるのだ。

「……風呂に入るか」

外は雨。
りこはまだ、目覚めない。

「ふむ。一人で風呂に入るのは、初めてだな」

我は風呂が好きになったはずなのに、やる気が全く沸いてこない。
我のやる気は、何処にいってしまったのだろう?

「……ふむ」

やはり、我は。

「りこが側に居てくれないと‘ふにゃふにゃのへろへろ’だな」

 



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