四竜帝の大陸【青の大陸編】
今日、ハクちゃんとして……改めて思った、実感した。
竜族であるハクちゃんの私に……つがいに対する執着心・独占欲は、人間の私の考えてる以上のものだ。

「神様じゃないハクちゃんに、お祈りなんかしないよ」

そんなハクちゃんも、私の事ではお医者様を必要とする。
それって……彼は私の病気や怪我を、治すことはできないってことでしょう?

ハクちゃんは万能の存在じゃない、ってこと。

私のお願いならなんでも叶えたいと言ってくれる優しい貴方に、不可能な事を頼んだりできないよ。

そんな残酷な事、言えない。
 
「……貴方みたいな怖がりな泣き虫さんが、神様のはずないでしょう? 神様なんかじゃないって、私は知ってる」
 
腫れてた頬に、優しいキスをしてくれた。
腫れてた頬を、そっと……いたわるように舐めてくれた。
貴方なりに、私を癒そうとしてくれた。
頬の腫れだけじゃなく……怖い思いをして萎縮した心を、慰めてくれた。

ねえ、ハクちゃん。
ハクちゃんは、恐れてる…怖がっているよね?

私が病気になったり、傷つくことを。


私が、死ぬことを。


神様じゃない貴方は、私が死んでしまったら……生き返らせることなんて、無理だから。
 
「ハク」

怖いよ、ハクちゃん。

自分が、怖い。
いつか、貴方に言ってしまいそう。

死にたくない。
ずっと、貴方と生きたいって。

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