四竜帝の大陸【青の大陸編】
「多くの餌を毎日与えれば、この小魚も食用に適する大きさになるのではないか? 色も朱紅魚に似ておるし……うむ。これらがもう少し育ったら、釣りの練習ができるな」 

釣り……このお洒落なお池を、釣堀にする気ですか!
それに食用って言った!?

「いっ……嫌よ! 私、この金魚は食べたくないっ」

そう言った私にハクちゃんは。

「……そうか、これは美味くない種だと<青>が言っていたな。すまぬ、りこ。我が悪かった」
 
まずいから食べたくないんじゃなくてですね!
む~ん。

「さあ、りこ。これらに餌をやるがいい。我はここで見ているのでな」
「え、あ……うん」

ちょっとばかり、理由が違うんだけど。
ま、いいか!
今日はこれから新しい先生と顔合わせだから、私としてはそっちの方が気にかかるんだよね。
昨日……竜帝さんにどんな人って質問したら、彼はハクちゃんをちらりと見て……言った。

ーーヴェ、ヴェルの許容範囲だと思うぞ。
 
それって、どういう意味なんだろう? 
ハクちゃんが金魚食用計画をあっさり止めてくれたので、「まあ、いいか」とこの件をそのままにしたのを後悔したのは数日後の朝だった。



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