四竜帝の大陸【青の大陸編】

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カイユさんとダルフェさんがお産のため留守中に、私は竜帝さんの執務室で新しい先生に会った。

ーーうわっ……すごい美少女! 

竜帝さんが淹れてくれた紅茶を飲む彼女の左手の薬指は、藍色をした貴石の指輪で飾られていた。
藍色の貴石が丸みのある銀のリングにちょこんとのっていて、可愛らしいデザイン。
桃色の大きな眼が印象的で、ふわふわの栗色の髪に緋色のリボンをつけて……愛らしいお人形のようなこの少女に、とても似合っていた。
彼女は私より10歳以上年下に見える美少女だけれど、竜族の学習院(義務教育の学校)で教鞭をとる才女だそうで……。

竜族だから実年齢は……彼女の方がずっと年上なんだけど、とにかくすご~くっ可愛い人!
シスリアさんは期間限定で、私の臨時講師を引き受けてくれたそうなのです。
私の視線に気づいた彼女は、嬉しそうに言った。

「ふふっ。これ、バイ君が求婚の時にプレゼントしてくれたんです。バイ君の眼と同じ色……私の宝物です」

向かいのソファーに座った私によく見えるように、左手を差し出してくれた。
既婚者である彼女は、私と同じように首元はもちろん手の甲まで隠れる服を着ていたけれど。
クリーム色のロングスカートは、チューリップを思わせるような初めて見るかわいいデザインだった。
まるで童話に出てくる花の妖精さん……某ネズミーランドの世界から抜け出してきたみたい。
でも、やっぱり私より背が高い。
竜帝さんが背で悩むはずだよね……。

「私のためにバイ君が自分で作ってくれたんです、これ」
「わぁ~素敵……シスリアさんに、この指輪はとても似合っていますね!」

本当に、似合っていた。
彼女のほんわかとした雰囲気に、ぴったりで。
お世辞抜きで、とっても良い感じです。

でも、バイ君。
いや、バイロイトさん。
貴方の奥様って、竜族的にも未成年なんじゃないの!?
コナリちゃんよりは育ってますが、彼女の見た目年齢は人間の14~16才位。
10代の幼妻と40代の夫って感じで、なんかこう……ドラマチックなロマンスの香りがぷんぷんしています。
まさか、バイロイトさんってロッ……!?
私の戸惑いを察してくれた竜帝さんが、散らかった机の上でがさがさと何かを探しながら言った。

「あのな、おちび。シスリアは成竜になってすぐ、バイロイトのつがいになったんだ。確かに歳が離れてるが、竜族じゃよくあることだ。シスリアは人間で言えば15、16位かな? 息子はシスリア似で、可愛いんだぜ……あったあった。これだ」

息子ぉおおお!?
お子様がいるんですか……そ、そっか。
竜族の人達はつがいと結婚したら、まず子供を作るんだもんね。
じゃあ、ハクちゃんもちょっと変わってる人だけど竜族なんだから……早めに子供が欲しいのかな?

ん?
竜族同士だと子供は1人。
私は人間だから……どうなんだろう?

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