四竜帝の大陸【青の大陸編】
ハクちゃんは竜帝さんを睨んだまま、言った。

「あのような陰気くさい場所は、小さな花のように愛らしい我のりこに相応しくない」

ぶほっ!?
は、花ですか?
私なんか、雑草です。
ぺんぺん草です!

「しかも<伝鏡の間>は照明が一切ないのだぞ、転んだらどうするのだ? りこは明るい所でも時々躓くのに。あのように暗くては危険極まりないではないか」

そ、それはその。
単に私が鈍くさいからであって……気づいてたんだ。
うう、恥ずかしい。
私って昔から、何も無い所で躓くんだよね。
妹もそうなんだけど……。
心配してくれるのは、ありがたいけれど。
そんな理由なら(私が鈍くさいからなんて、うう~情けない)、他の竜帝さん達に会えるチャンスを逃したくない。

「じゃ、じゃあ! ハクちゃんを掴んでる」

私はハクちゃんの腰の辺りを両手で掴んだ。
うん、これでオッケー!

「こうして服を掴んでるから、真っ暗だって平気よ?」
「……服?」

振り向いたハクちゃんは。
私を見下ろし、金の眼を細め。

「……なるほど」

あれ?
ハクちゃん、一瞬だけど微かに口元が上がったというか。
ニコッ、じゃなくてニヤッて……。

み、見間違い?

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