四竜帝の大陸【青の大陸編】
「良い案だな」

そう言って。

「きゃっ!?」

私をひょいっと抱き上げ……ぎょわぁ!?

「ちょっ、ハクちゃん! 高いよ、怖いっ……下ろしてぇ~!」

右肩に座らされたので、目線が有り得ないくらい高くなってしまう。
さすがに怖くて、ハクちゃんの頭にしがみついた。

いくら私が小柄だからって、さすがに肩には……リス猿じゃないいんだし、肩に乗せるなんて無茶苦茶だよ!

「何故だ? これなら転ぶ恐れが無い。安全で安心だぞ……我の頭部に、そうやって掴まれば良かろう?」

何言ってるのよ、もうっ!
安全かもしれませんが、安心できませんって!
恐ろしく高いし、上半身が不安定だから怖くてハクちゃんの頭が離せない。
ハクちゃんは私を落としたりしないと頭では分かっていても、怖いものは怖いのだ。

「や、これ嫌……高くて怖い! だったら、せめて抱っこにしてよ。ねぇ、お願いハクちゃん。抱っこにしてっ!」

そうお願いすると、ハクちゃんはすぐに私を抱えなおしてくれた。

「そうか、りこは我に抱っこされたかったのだな。最初からそう言えば良いのだ……夫の我に遠慮など無用だぞ?」

私の両腕を自分の首にしっかりと絡ませ、腕に座らせて……ひえぇ~、これってお子様抱っこ!?

「おちび、同情するぜ。ったく、狡猾なじじいだな~」

呆れたようにハクちゃんと私を見る女神様……うう、視線が痛い。
今回は正式な奥さんとして他の竜帝さん達に会うのに、抱っこ状態でご挨拶なんて……うう、こんなの嫌だぁああ~。

あれ?
 
目の前の女神様は、小さくて可愛い青い竜だったよね?
他の竜帝さんも、かわゆいちび竜!?
会議……竜体だといいなぁ。
かわゆ~い鱗のちび竜さんが、会議だなんて!
なんて、素敵な光景でしょう!?
想像するだけで……ああ~んっ、堪んない。
うっとりしちゃう!

「おい、おちび! 顔、緩んでるぞ? 何を考えてんだか想像つくけどよぉ……俺様の時みたいになんのは勘弁してくれよ!? あそこにある大型伝鏡を全部あわせたら、国家予算並みの金額になるんだからな! 絶対にヴェルを暴れさせんなよっ!」

私は慌てて妄想を止め、ハクちゃんの顔を見た。
ひぃいいいっ!?
わ……笑ってる!
笑ってるけど、この笑いはやばい方の笑い方っ!?

「良い機会だ。誰が1番かわゆいか、はっきりさせようではないか。くくっ……なあ、りこよ」

ハクちゃん。
貴方……会議を<かわゆいコンテスト>にするおつもりでしょうか?
貴方の奥さんの移動方法が主な議題の会議だそうですから、お手柔らかにお願いいたします。

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