四竜帝の大陸【青の大陸編】
「雪? おかしなことを。りこが触れても、我は消えはしない」

目元に触れていた私の手を取り。
指先にキスをして。

「我の鱗は白いが、雪ではない」

眩しそうに眼を細め、言う貴方。

「だが。温かなりこを抱いて、こうして接吻をすると」

ハクちゃんは手も唇も、体温が低くてひんやりしているけれど。

「ハ……ふっ……んぁっ……」

唇を深く、深く合わせて。
貴方とこうして触れ合っていると。 
私の心も身体も。
全てが、あたたかいもので満たされる。

「……りこ。我は雪ではないのだが」

キスしてもらえて嬉しいのに、同時にとっても恥ずかしくて。
両目をぎゅっと閉じた私の瞼に、ひんやりとした唇の感触……瞼の内側から、じんわりと熱が生まれる。
なんだろう、これ……この感じ。
うわぁ、ぽかぽかして気持ち良い。
ホットタオルをのせてるみたいな心地良さ……。

「舌先から、融けてしまいそうだぞ?」

ゆっくりと開けた眼に見えたのは。
目元を微かに染めた……大好きな貴方。

「ハクちゃん……ハク」

汚い私と、綺麗な貴方。
どこまでも……底の底まで混じり合ってしまいたい。

貴方が私を置いて。
その白い翼で、飛んでいってしまわないように。

私は汚い、嫌な女。

心のどこかで。

「うん。私も……」

貴方の翼を、この手で折ってしまいたいと願う……嫌な女。

 

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