四竜帝の大陸【青の大陸編】
ハクの‘つがい’になった私は。
この世界の人達からすれば、怖い存在で。
同じ『人間』としては、見てもらえないのかもしれない。
私は異世界人だから。
この世界の人達から冷たい眼で見られても、珍獣扱いされたって当然だと思う。

でも。
ハクちゃんは、この世界の住人で。
<監視者>っていうお仕事だって、誰かがやらなきゃならないんでしょう?
<処分>なんて、ハクちゃんが好きでやってるはずないのに。
この人にそんな‘役’を押し付けてるのは、この世界の【人間】なの?
竜族は術式を使えない。
術式で私の居た異世界から好奇心で何かを出して、後始末を押し付けてるのは……【人間】だ。

嫌。
貴方をあんな眼で見る人達は、嫌。
 
「ハクちゃんが<化け物>なら、私だって同じだよ? なんたって、異世界人だもの」

竜帝さん……竜族と人間は、なんでこんなにハクちゃん対して違うの?

「ねえ、ハク。黒の竜帝さんが亡くなってしまう前に、黒の大陸に着けるようにしなきゃね!」

さっきの竜帝さんの話だと。
老衰でもうすぐ亡くなる黒の竜帝さんも、赤ちゃんの頃から……長い期間をハクちゃんと過ごしたはず。
青の竜帝さんと同じように、ハクちゃんには特別な想いがあるはずだから。
会わせてあげたい、ハクと黒の竜帝さんを。
伝鏡越しじゃなくて。

「お引越しかぁ~。他の大陸も通っていくなんて、まるで世界一周旅行みたいですごいねっ」

帝都で与えられた部屋は、すごく素敵で。
大きな温室まで併設されて。
衣装室にはハクちゃんのものだけじゃなく、私の衣類までたくさん用意されていた。
全てが、準備されていた。
ハクちゃんの事を大事に思ってる彼は。
ハクちゃんの為に。
私を【満足】させようと、仕事まで‘用意’してくれようとした。
竜帝さんが私に良くしてくれるのは、ハクを想っての事で。
人間は……<監視者>のハクが怖いから。
術式を使わずに、小骨を一生懸命に取ってくれた貴方。
味覚が無い貴方は味見が出来ない。
だから美味しそうなだけじゃなく、綺麗で面白いクッキーを選んでくれた。

外見以上に、真っ白な心を持つ貴方。

「ハクちゃんって、時々すごく綺麗過ぎて。……私なんかが触ったら、雪みたいに融けて消えてしまいそう」

貴方の心に触れるたび。
自分が汚い人間だって、思い知らされる。 

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