四竜帝の大陸【青の大陸編】
「っ……な、何でそういうこと言っちゃうのよ! もうっ、ハクちゃんが変なこと言うからだよ! わ、私に色香なんてあるわけないんだからっ。竜帝さん、大丈夫!?」

胸を拳で激しく連打しはじめた<青>の背をさすろうと、りこが腕を伸ばした。

「変なことではない、事実だ。我は間違っていないぞ? ……下がれ、りこ」

りこはあわてて手を引き、数歩下がってから我と<青>を交互に見て言った。

「大変……お菓子がつまっちゃったみたい! お願いハクちゃん、竜帝さんの背中を叩いてあげてっ」

“お願い”?
りこの“お願い”。

「わかった」

我は<青>の背の中央を叩いてやった。

尻尾で。

<青>の口から出たのは、菓子と怒声だった。

「ぶぎゅうっ!? いってえぇぇ~っ! なにしやがる、このドS! 背骨が折れちまうだろうが!?」

<青>よ、お前が食っている菓子はりこへ持ってきた物ではなかったか?
何故かテーブルには3個しか残っておらぬようだが……。

「ハクちゃん! 強すぎだよっ。こんな感じでとんとんって、してあげなきゃ!」

りこが我の背を軽く、数回叩いた。

「とんとんか、うむ。覚えた」

とんとん……これは、なかなか気持ちが良い。
撫で撫でも良いが、りこの‘とんとん’も我は好きになった。
我も菓子が詰まったら、りこが‘とんとん’をしてくれ……っむむ、我は菓子を食わぬとりこは知っておるな。
自作自演だとばれたら‘とんとん’をしてもらえん可能性がある。

では、違うものを……何を気管ににつめたら、りこに‘とんとん‘をしてもらえるのだろうか。
石が良いだろうか?
むっ、石では少々不自然か……なかなか難しい問題だな。

「もおぉ~っ! 竜帝さんがむせちゃったのは、ハクちゃんの所為なんだからね!?」

はて?
なぜ我の所為なのだ。

意地汚く数個の焼き菓子を口に放り込んでいた<青>が、それらを咽喉に詰まらせたのは……どう考えても自業自得だと、我は思うぞ?

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