四竜帝の大陸【青の大陸編】
旦那は四竜帝と一部の人間共に、自分の‘つがい’である姫さんが<監視者>に強い影響力を持つことを思いしらせ、本来は処分されるべき異界人の娘の存在価値を揺ぎ無いものとした。

善い存在だとは思われないが、必要な存在だと思わせる効果は充分だ。

旦那は、本当に頭が良い。

姫さんが世界を望まなくても。

竜族も人間も。

<世界>が姫さんを必要とするように仕向け。

旦那はこの世界全体を姫さんの【檻】にして、竜族と人間という【枷】で雁字搦めに縛る気なのか……。

あの子は。
救いを求める手を振り払えるほど、強くはなれない。
旦那はその事を、ちゃんと分かっている。
 
「急ぐか……ポルの街に寄って、坊ちゃん方に昼飯食わせなきゃだもんな」

だがね、幸か不幸か。

可哀想なあの人には、一番大事なことは分からないんだよ。
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