四竜帝の大陸【青の大陸編】
「ちょ……ハクちゃんっ!? し、信じられない……なんで言おうとすんのよっ!?」

ーー我も。
 
昨夜。
真珠ような貴方のかけらの鎖を、私の身体に巻き付けて。

ーー我も、りこからの贈り物が欲しい。

そう言って。 
艶めく微笑で、私の心を絡めとり……。

「…………っ」

きゃあああ~!
ここで思い出しちゃダメ~、考えちゃダメっ!

「何故怒るのだ? あのようによろ……んべっ!?」

隣にふんぞり返って座っていたハクちゃんの白い頬を、私は慌ててひっぱった。

「だ、駄目っ~!!」
「ふぃ、ふぃごっ!?」

引っ張りすぎてその無駄に綺麗過ぎるお顔が崩れたって、知るもんですかっ!
少しは私を見習って、地味な顔になっちゃえばいいのよ!

「ハクちゃん! 言わないでって、あれだけ念を押したのにぃい~!」

貴方のかけらは。
真珠のように、綺麗で。
砂糖のように……とっても甘い。

「あれは貴方がっ……だって、ハクちゃんがっ!」

それは。
とても、とても甘い鎖。

「ハクちゃんが、ハクがあんな……あんなことするからっ」

心の底まで、縛られて。
貴方に酔わされ、蕩けてしまった。

身体の奥まで、嬲られて。
貴方で溢れて、溺れてしまった。

「あんな意地悪なこと、言ったり……したりしたから……だから私っ、私っ……」

もっと欲しいと、冷たい身体を引き寄せた。 
もっと欲しいと、すがって泣いた。

貴方が欲しいと。
何度も言った、言わされた。

「うう~っハクちゃんのドS! もう、絶~対にあんな使い方は許さないんだからねっ!? これは今日中にアクセサリーにします。カイユ、スキッテルさんのお店に行きましょう! ……ハクちゃんはお留守番してて」

貴方のかけらに縛られて。

「り、りこ!? おい、我を置いて行く気なのかっ!? 待たんか……待ってくれっ!」

この世のどんなお菓子より。

「‘待たん’ですっ!」

甘い時間を過ごした事は、2人の秘密。



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