四竜帝の大陸【青の大陸編】
『りこっ! 我が悪かっ……ぐあっ!?』

我の下半身に、未曾有の衝撃がはしった。



「ぎゃー! 変態! いやあぁ~!」



りこの蹴りをくらった我は痛みよりもショックで、りこの身体を離してしまった。

「ひぃっ! まっぱ! 真っ裸! 触んないで、あっちいって! 変質者!!」

りこは駆け出し、なにやら叫びながら去っていった。
我は呆然とその姿を見送ることしか出来なかった。

本気で蹴ったぞ、今の!

りこが我を、本気で蹴ったのだっ!
そんなに嫌われてしまったのかっ!?

『旦那……使えないどころかここまでいくと憐れというか』
『うるさい! 我はそれどころではない!』

 我は顔にかかった髪を右手で払いながら言った。
 む?
 髪?
 右手……5本の指がついてるぞ?

『よっぽど慌ててたんでしょうねぇ』

 ダルフェがあきれたように言った。

『人型に戻ってますよ』
『っ!!』

我はりこを掴まえたくて……。

『いきなり変化したもんだから、もちろん素っ裸です。突然のことに姫さんはびっくりして正気に返ったようだし、ま、良かったんじゃないですか?』

人型。
まずい。
非常にまずいのだっ!

『姫さんはなんか言いながら行っちゃいましたねぇ。異界語だったから分かりませんが推測するに』

この姿は知られたく無かったのだ!

『まぁ、変質者とか変態とか言ってたんじゃないですか? なんたって素っ裸ですし。あの様子じゃ、あんたの顔すら見てなさそうでしたね』

変質者。
変態。

『…………』

あぁ、また眼から内臓が溶け出しそうだ。

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