四竜帝の大陸【青の大陸編】
おちびちゃん……トリィ、君は僕の孫になった。だから言うんだ。分らないなら、考えなさい。君の夫は誰で‘何’かな?」

ハクは……夫。

「ハクちゃんが私の……」

ハクちゃんは、<監視者>。

人間にとって、とても……とても怖い存在。
しかも、全ての<四竜帝>に強い影響力を持っている特別な存在。
私は彼がどんなに強いのか、どこまでのことが出来るのか知らない。

でも。
セイフォンで竜帝さんは、私に言った。

 ――<ヴェルヴァイド>は最強の存在だった。だが、今では‘最凶最悪’だ。
 
そのハクが。
言った。
皆に聞こえる念話で。

――我がこの世で最も嫌いなモノは、お前だ。

彼は皇太子。
彼の未来は、セイフォンの未来。
彼はセイフォンの未来を担う王族。

 ――我がこの世で最も嫌いなモノは、お前だ。

セイフォンで。
ハクちゃんはダルド殿下を嫌って、手紙を破いたり燃やしたり。
まるで駄々っ子のようで……。
焼き餅をやくかのようにすねる姿も、ちょっと可愛いなって思ってた。

「……ぁ」

ハクは。
最強で最凶最悪の竜。

「あ……わ、たし?」

その彼が。

 ――我がこの世で最も嫌いなモノは、お前だ。

ダルド殿下を。
『セイフォンの皇太子』を。
この世で最も嫌いだと。

そう『宣言』した。

それを胸に。
彼は、生きる。 
 
「セ……セレスティスさんっ、わた……私はっ!?」

私は。
ダルド殿下に。
とんでもなく残酷な仕打ちを……したの!?

「ふふっ……ありがとう、おちびちゃん」

彼の。
セレスティスさんの。
満足げな笑顔と、感謝の言葉。

あぁ、この人は。
“生かされている”人、だから。

「ありがとう」

それが。
あなたの。

答え。

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