四竜帝の大陸【青の大陸編】
「つーことは、対術士戦ってことっすか」 

星持ちの術士だって簡単に片付けちまうセレスティスが、クロムウェルを連れてくってことは。
力技だけじゃ、勝算が無い相手ってことか?

「あんたがついていながら、あいつが負けちまうかもしれないほどの術士を討ちに行くんですか?」

クロムウェルが負けるかもしれない相手。
あいつは強い。
人間にしておくのが惜しいほど、強い。

あの旦那が陛下に「買え」と言ったほどだ。
そのクロムウェル以上の……この大陸に片手ほどもいないはずだ。
まさか……!?

「いや、そうじゃなくて僕があいつを守る気が無いだけだよ。だって、あのド変態が嫌いなんだもの」

は?

「なぁ~に大人気ないこと、堂々と言ってるんすか! 仕事で組むんだから、そこんとこは割り切ってくださいよ。それに、あいつは真性ド変態ですが良い奴ですよ? 無害で有能です」
「無害!? 僕は陛下の父親から、あの子をくれぐれも頼むって言われてるの。あんな変態男、近づけたくなかったのに……だいたいね、君が割り込んだんじゃないか!」

俺が?
どこに割り込んだっつーの。

「それ、どういう意味っす?」
「カイユはね、現陛下のつがいになる可能性が高かったんだ。あの子の父親は、僕の顔が好きだったから僕に似たカイユを息子の嫁にして、僕そっくりの孫を手に入れて、僕の顔に囲まれた老後を過ごすっていう夢を持ってたんだ。まあ、死んじゃったから無理なんだけど……君が赤の大陸から来るなんて反則技を使ったんじゃない」

カイユが陛下の!?
そんなの、冗談じゃねぇ!
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