四竜帝の大陸【青の大陸編】
やっぱ、旦那に感謝だな。
生ごみ寸前になろうが、カイユと会えたんだから。

「反則って……そもそも俺は来たくて来たんじゃねぇし。文句は旦那に言ってくださいよ! ってか、陛下の親父さん……そこまでいくと重度の変態なんじゃないっすか!?」 

俺の言葉に、セレスティスは即反論してきた。

「違うよ。カッツェは変態なんかじゃない、単なる顔フェチなだけだ」
「舅殿、それを世間じゃ変態って言うんです」
「え? そっ、そうなのか!? 俺、知らなかった……カッツェが変態の仲間なんて……」

あ~あ、俺になってるよ、この人。
本当に知らなかったんだな。

「……納得できないから、街に行って変態に詳しいガルデウッドに確認してくるよ。荷物も作んなきゃだし、忙しいな~……じゃあね、婿殿」

セレスティスは妙に軽い足取り俺の前を通過して扉に……おい、こら待ちやがれ。

「まだ話が済んでないでしょうがっ!」
「覚えてたんだ」

銀の髪をさらりとはらい、振り向いた顔には胸焼けしそうな甘い微笑。
 
「何気に俺のこと、馬鹿にしてません? ……俺には王子様スマイルは通じねぇぞ」
「ダッ君のいけず」
「ダッ君言うな!」

ああ、嫌だねぇ~。
この人相手だと、なんでこう本題からするっと方向転換されちまうんだろう。
俺もまだまだだな……。

「話、戻しましょうや。俺も団長であるカイユも、メリルーシェの件は一切何も聞いてません。セレスティス、あんたと陛下は俺達……いや、俺達と旦那を蚊帳の外にする気なんですか?」

セレスティスはともかく、陛下まで俺達に一言も無いなんてなぁ。
うん、これはけっこうショックだぜ。


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