四竜帝の大陸【青の大陸編】
「……じゃあ、私はあのガゼボの近くでミー・メイちゃんを待ってますね」

1年中綺麗な緑色のままの芝生に覆われた庭に建てられている、白いガゼボを指差した。
八角形の屋根を持つ可愛らしいガゼボには備え付けのベンチがあり、お話しするには良い場所だと思った。
あそこなら、ここからでもよく見える。

「トリィ様、先程の話なのですが……私は過去の記憶を持っていたに過ぎないのです。記憶を持っていた分、あの方には良い印象など皆無でしたわ」
「セシーさん……」

車椅子を上手に操り、セシーさんは竜帝さんへと寄って行き……。

「私はこの青の陛下のように、たおやかな美しい男が好きなんです。ヴェルヴァイド様にはまったく欲情出来ません。うふふっ……ねぇ陛下、私はいつでも大歓迎ですわよ?」

言いながら、青い竜の右手をぐいっと掴んで自分へと引き寄せた。

「あ? 乳がでかくても、俺様もじじいと同じくお前は無理だっ。うわっ! 乳で窒息させる気か!?」

セシーさんは両腕で囲うようにして、竜帝さんを豊かな胸の谷間に押し付けるようにして抱きしめていた。

「ち、ち……乳!?」

ああ、久々に聞きましたその単語!

「こら、おちび! なんだよ、その目はっ!?」

竜帝さんがお口をぱかっと開けて、乳という単語に過敏に反応してしまった私を見た。

「だ、だって! 女神様な竜帝さんが乳なんて……でかい乳なんて言うからですっ!」

でかくない乳の持ち主である私は、力を込めて言い返した。

「は? 女神? おい、俺様だって雄なんだぞ! でかい乳が好きで何が悪い!? 身体の好みに女顔だってのは、関係ないだろうがっ!」
「かかかっ、身体の好み~っ!?」

竜帝さん、もしや巨乳が好きなのですか!?
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