四竜帝の大陸【青の大陸編】

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ダルド殿下達に会った翌日、私とハクちゃんはスキッテルさんのお店に来た。
もちろん、カイユさんとジリギエ君も一緒。

スキッテルさんは宝飾品を作っている職人さんで、個性的な見た目からは想像できないくらいとっても話し易いおじいさんだった。
彼に会うのは今日で2回目。
2回目の今日は、注文していたアクセサリーの受け取りのためだった。

「そうだ、カイユちゃん。ケーチザンの店に例の緑茶が入荷したらしい。あれ、セレスティスが好きだろう? せっかく南街に来たんだから、ついでに買っていってやれば?」

言いながら、スキッテルさんは腕に抱いて頭を撫でていたジリ君に銀色のコインを3枚渡した。
お店に来てからずっと、スキッテルさんはジリ君を抱っこしていた。
まだ人型になれない幼生体のジリ君の可愛さに、スキッテルさんは頬が緩みっぱなしだった。

うんうん、分かります!
ジリ君は、本当に可愛いくて綺麗な子だもの。
スキンヘッドのサンタクロースのようなスキッテルさんが、小さなジリ君にめろめろ~んな姿はとても微笑ましい。
それを見ている私の心までほっこりしてくる、ほのぼのな光景。

「ギュギィン?」

小さな手でぎゅっとコインを握りながら、ジリくんはシャボン玉で作られたような美しい皮膜を持つ翼をぱたぱたと動かしてスキッテルさんの腕から飛び立ち、カイユさんのお膝に戻ってきた。

「教えてくれてありがとう、スキッテル。前回の入荷の時は買いそびれてしまったって、父様が言ってたのよ。いつもすぐに売り切れてしまうから……近所だし、ちょっと行ってこようかしら」

カイユさんの着ている若草色のレカサには裾と袖に白い小花が刺繍されていて、澄んだ美貌に可愛らしさを添えていた。

とっても似合う……カイユさんが竜族男性の伝統衣装であるレカサを普段着にしてるのは、動きやすいからだって言っていたけれど、アオザイに良く似たレカサのすっきりとしたラインを持つデザインは、彼女にすごく似合っていると思う。
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