四竜帝の大陸【青の大陸編】
「……ダルフェ」
「ん? なんすか、陛下」
「……いろいろ、ありがとう」

そう言われて、思わず。

「いえ。俺は陛下が好きですから、いいんですよ」

素直に答えてしまった俺に。

「え? 好きって……その、え~っと、すまんっ!」
「? すまんって、なにを……」
「俺様、じじいと同じく雄とは交尾無理だ! すまんっ、ダルフェ!!」
「はっ!?」

陛下は短い腕を自分の胸部にぴたっとくっつけ、翼で身体を包むようにして俺から距離をとった。

同時に一斉に俺を見たセイフォンの連中の視線が、なんとも痛い。
皇太子の驚愕。
王宮術士の困惑。
魔女閣下の好奇。

それぞれの視線が、俺に突き刺さった。

「…………」

痛いというか。

なんか、この種類の痛みもこれはこれで悪くないと思ってしまった俺は。
変態なんかじゃなく、前向きだってことにしておこう!
< 712 / 807 >

この作品をシェア

pagetop