四竜帝の大陸【青の大陸編】
「<青>、話とはなんだ? 手短に済ませろ」

夕食後、風呂に入ろうと支度をしておったら。
<青>が来た。

---ちょっと顔かせっ! このクソじじい!!

我は断った。
 
--頭部を切断し<青>に貸すのは、りこの前では不適切なので断る。

そう言った我の胴をりこが両手で素早く掴み、<青>へと差し出した。

--竜帝さんはハクちゃんに来て欲しいって意味で、言ったの。

その顔は、微笑んでいるのに抗えない気迫があった。

ーーいってらっしゃい、ハクちゃん。
--はい、なのだ。

帰宅後、りこは様子がおかしかった。
我を凝視したかと思えば、目を逸らし。
溜息を連発しつつ、いつもの倍量の夕食を平らげた。
あれだけの食欲があるのだから、体調に問題は無いはずなのだが……。

「なんの話だとぉおお!? 決まってんだろうがっ! つーか、さっき俺様ちょっと言っただろう!? メリルーシェの第二皇女の件だっ! 帝都に逗留してるのは知ってたんだけどよ、まさかスキッテルのとこに来るなんて……しかもおちびにっ……!」
「なにか問題でも?」

<青>の頭に座る我に答えたのは。

「問題? 大有りですわ。ヴェルヴァイド様」

ダルフェを床に這わせ、その背を右足で踏みつけているカイユだった。

「私が席を外している時に来店したのは、ヴェルヴァイド様が支店で仰っていた“術士として使えんが探知能力だけは並以上”という皇女ですね? 間違いございませんか?」
「そうだ」

あれは我へと『網』を広げた。
細かな根、無数の糸。

それらを這わせ、我へと伸ばし居所を探し当てた。
我が城から出るのを、待っていたのだろう。
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