四竜帝の大陸【青の大陸編】
「と、父さん。あの、あのなっ……」

世界に害なす存在に唯一人声をあげた父の勇姿に、内心めちゃくちゃ感激してしまった自分が悲しい……。

「……ダ、ダルフェ。お前の父ちゃん、すげぇよ」

青の陛下の感心しきった口調が、悲しさに切なさを突っ込んできた。
その切なさには、笑いが付録となっていた。

「え、あ、あははは。まぁ、はい……」

え~っと、父さん。
子持ち孫持ちの母さんの肌なんかより、世界がとうなるかの方がどう考えたって重要だって!
姫さんが死んでたら、世界が終わっちまうんだぜ!?
今、俺達はっ!
世界は危機的な状況であるという大問題に直面中なんだぞ!?
……まぁ、竜帝が露出過度な女王様的な格好でいるってことも大問題だけどな。

「皆よ、私は少々……いや、とても疲れた。先に下がらせてもらう。進展があったら報告を頼む」
「え? <黒>、あ、おいっ!?」

他の四竜帝の返事を待たず、黒の爺さんは電鏡から姿を消した。
爺さんは死期が迫っていて、体力が落ちてるからなぁ。
長時間起きていられないのだろう。
 ま、それだけが『疲れ』の理由じゃないだろうが……半分位は俺の親父のいかもな。

「<黒>、おつかれさま~! トリィちゃんとイドイドのこと、よろしくね<赤>! なにか手伝えることがあったら連絡ちょうだい! うちの竜騎士達貸してもいいよ? じゃぁ、またね~!」 

それを追う様に、黄の竜帝も去っていった。
赤の竜帝にかけた声には、あからさま過ぎる程の安堵の響き。
自分の大陸に姫さんが居ないと分かった途端、これかよ。

「……ダルフェ。大丈夫か?」

青の陛下が俺の左腕にそっと触れ、言った。
この陛下は美人で優しい……黄の超音波娘に、陛下の爪の垢を飲ませてやりたい!
飲ませるっつーか、あのムカツクを口こじ開けてこの手を胃袋まで突っ込んでやりてぇ~!

「だ、大丈夫で……ぐおっ!?」

俺の目にさらに衝撃的な光景が飛びこんできた。
両膝をついて旦那の左脚にすがっていた半べそ顔の中年親父(ひよこの着ぐるみ着用)が、がっちり抱き込んだ脚を支えにして上半身を……顔を上げたのだ。

「とっ、ととと父さんっ!?」
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