四竜帝の大陸【青の大陸編】
ああ、なんつーこった!
旦那を見上げる親父の顔に、旦那のイチモツが触れそうだ……息子として、切な過ぎるぜ!

「お願いですぅうう~、ヴェルヴァイドさまぁあああ!」

なんとも際どい位置で思いっきり鼻をすすりながら叫ぶ父親の姿に、頭痛がしてきた。
そんな俺の気持ちを察してくれたのか、母さんが動いた。

「ヴェルヴァイドから離れなさい、エルゲリスト」

父さんの髪を左手で掴んでひっぱり、旦那から引き剥がした。
そして、自分の足元につがいの雄の身体を落として左足で背を踏みつけた。
ふかふかした黄色いひよこの着ぐるみに、ピンヒールが突き刺さる。

「ごめっ……ごめんなさい! ヴェルヴァイド様に勝手に触ってごめんなさい、陛下」

今にも溶けてしまいそうなミルクチョコレート色の瞳で、親父は自分を見下ろす妻の真紅の目へとすがるような眼差しを向けた。
それを受けて、満足気に微笑む……俺の母親である赤の竜帝。

「うふふ……触るのはかまわないわ。ただ、私以外にその可愛らしい泣き顔を見せないでちょうだいね?」
「は、はい!」

あぁ、我が母親ながらなんつードS。
そしてなんつーアホな会話だ。
旦那はそんな阿呆な夫婦にも、まったく表情が変わらない。
まぁ、いつものことだしな。
つーか、旦那。
取りあえずその外套を拾って、丸出しな下半身を隠したほうがいいんじゃないですか!?

「ダ……ダ、ダルフェ。お前は今すぐに発つべきだ!」

陛下がいきなり鼻息荒く言い、俺の両手をぐっと握った。

「はぁ、まぁ、でも今すぐになんて無……」
「今すぐだ!」

俺の言葉をさえぎり、陛下は言った。 

「そして、丸出しなクソじじいに服っを! せめてあの丸出しをっ! 丸出しをぉおおお~!!」

真っ赤な顔で叫ぶ陛下の脳内では、仁王立ちの真っ裸な旦那に跪き、丸出しな下半身に恭しく下着を装着する俺の映像が浮かんだに違いない。
俺の脳内でも、それが再生されて……じょ、冗談じゃない!
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