リーシュコードにて



「覚えてるだろ、あのときリーシュコードには俺のボードがあった。

 寝袋抱えて持てなかったから、朝、取りに行ったんだ。

 そのとき俺、見ちゃったってわけ。……死ぬかと思ったよ」



「見てたって、まさか……」



 瞬間、黒髪を散らして思わず振り返る玲子に、栄治は無邪気に笑いかける。



「夜明けだった。

 3回目? 4回目? もしかして、一晩中やってたの?

 綺麗だったよ。ものすごく」
 


 玲子は、両腕で頭を抱えた。



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