リーシュコードにて
惜しみなく降り注ぐ黄金の日差し、季節を問わず吹き抜ける灼熱の風。
玲子は、突然あの頃の、永遠の夏の気配に襲われた驚きで、しばらく呼吸を止めていた。
目の前のブロンズの肌をした長身の男が、
瞬きの間だけ、夏服の中で体を泳がせる少年に戻る。
「栄治……だよね?」
玲子は、ぽつりとつぶやいた。
間違いない。
かつてリーシュコードで一からサーフィンを覚えた、玲子と誠の弟分。
玲子を先輩と呼ぶのは、懐かしい佐川栄治だけだ。