リーシュコードにて



「ね、誠、そろそろまたサーフィンが恋しくなってきた頃じゃない?

 こっちにはいつ来られるの?」



 そして玲子は、

フロアの片隅にディスプレイされている真っ赤なショートボードを振り返り、そう続けた。



 誠は、玲子が知る限り、最も優雅に波面を滑ることができるサーファだ。



 故郷の長野に戻ってからも、暇を見て玲子の元に顔を出し、

湘南の海で波に乗ることを楽しみに日々を生きている。



 誠が訪れたときにだけ、相棒の赤いショートボードは、

レストハウスのお飾りの役割りを解かれて思いのままに波間を滑ることができるのだ。




< 8 / 200 >

この作品をシェア

pagetop