最後の恋、最高の恋。



“よかった。 悪いんだけど今日急な会議が入って終わるのが19時になりそうなんだ。 できれば俺の会社前で待ち合わせにしたいんだけど”



受信時間は15:23。
きっと軽い休憩の合間に打ってくれたんだと思う。

ここから坂口さんの会社までは歩いても10分かからない。

携帯の時刻を確認しても、今は18:11で、今から行っても坂口さんの指定した時間よりだいぶ早く着いてしまうけど、私は“大切な話”がなんなのか早く知りたくて仕方なかった。


初めて会った日に告白されてから約8か月。

買い物に行ったり、メールしたり、電話したり。

このあいまいな関係を変えるはっきりとした言葉はなかったけれど、自惚れじゃなくて坂口さんが私のことを真摯に想ってくれていることは、すごくすごく伝わってきた。


坂口さんは“付き合おう”という、このあいまいな関係を崩すような言葉は一度も口にしたことがない。

“好き”とか“可愛い”とかはよく口にしたけど、それだけは言わなかった。


私はそのことにどこかでほっとしていたのは事実だけど、最近ではこの関係がいやで、“好きです”と伝えたくて仕方がなくなっていた。



だから勇気を出して、私はこの関係をいい意味で壊そうと決めていた。

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