最後の恋、最高の恋。
大人の女の人なら、もっと上手な対応ができたんだろうか。
大人なお姉ちゃんなら、一体この場をどう乗り切るんだろうか。
坂口さんの大好きなお姉ちゃんなら……。
「美月ちゃん」
思考を遮るような真剣な声音に、私はそこで考えるのをプツリと止められて、「な、んでしょう」とぎこちなく顔を坂口さんの方へ向ける。
とてもじゃなけどちゃんと目を見ることが出来なくて、緩められたネクタイの結び目を見つめた。
面接のときとか、そこを見れば視線を合わせてるように見える、と中学時代に高校受験の時に先生に教わったけれど、「美月ちゃん、ちゃんと目を見て話そう」、そう坂口さんに言われてこういう至近距離では通用しないと分かった。
坂口さんは、どこまで私を追い詰めれば気が済むんだろう。
お姉ちゃんを愛していると言っていたその口で。