最後の恋、最高の恋。
さっきまで頭に上っていた血が、一気に下がっていく。
ぐっと自分の腕を掴んでいた手からも力が抜けて、同時に食い込んでいた爪が離れていく。
「安心してください、もう、夢を見るのは、諦めました」
さっきと違った、まるで自分で発したとは思えない抑揚のない声が出た。
「バカみたいに一縷の希望を夢見ていた私に、そんなことありえないと、現実を教えてくれたのは、他でもない坂口さんです。 とても、感謝してるんです」
たっぷりと嫌味を混ぜた本音。
本当、感謝してもしたりないくらいだ。
「こうやって崖から突き落とされたような思いは、もう二度とごめんです」
「……」
「こうやって最後に裏切るなら、最初にあんなこと言わないでほしかったです」
静かに、淡々と話す私の言葉に、坂口さんは「……美月ちゃん」と何度目か分からない私の名前を呟くだけだ。