そんな顔すんなよ





これからは学校に行けば会えていたお前に…会えなくなる。


だけど、いつだってお前を思い出す。同じ空の下にいて、同じ太陽が照らしてくれているんだから。


「なぁ、凉菜」


「なぁに?」


「春に会いに行くから」


残りの冬休みはバイトをしよう。お前に会いに行くために稼いで、そして春に会いに行くよ。


「じゃああたしはたこ焼きの分析をしなくちゃ!」


プップーッ


住宅街にクラクションの音が鳴り響く。凉菜の両親が知らせた合図だ。


「えへへ。待たせ過ぎちゃった」


「ったく。大丈夫かよ」


「ねぇ、優輔っ」


ちゅっ


「行ってきます!」


触れるだけのキスを残して凉菜は行った。


「………行って…ら…っしゃい」


これからもずっと、俺の心の持ち主はお前で決定。


だから、そんなズル賢く勝ち誇った顔すんじゃねーよ…このタコ。


春に会いに行った時は…覚えとけよ?





【*END*】



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