30才の初恋
あの頃の自分には戻らないと決めたから、だから大丈夫。


円香に言われた通り背筋を伸ばして、前を見て歩いた。


でも、10cmのヒールがきつくて足が痛い。

「かなり無理してるみたいね。いつまで続くかしら。」


どこまで意地悪だ。


慣れてるから気にはしないけど。


一歩踏み出した時、思いきり足を挫いた。


高いヒールがまずかったな。


今さら後悔しても遅いけど。


「痛い!」


「大丈夫か?」


倒れたはずの体を誰かに支えられた。


この人はいったい誰。


「副社長、いらしたんですか。」


私を支えているこの人が副社長。


マジマジと顔を見つめる。


「君は新人さんなのかな。そんなに見つめられたら恥ずかしいけど。」


す、すみません。


本当に恥ずかし過ぎる。


「ごめんなさい。お礼を言おうと思いまして、大変失礼たしました。」


織原さんが又鼻で笑った。


おまけに舌打ちまでして。


「本当にドジな人ね。武井さん行くわよ。」


副社長に頭を下げて、痛む足をひきづりなから歩いた。


数歩歩くと。


「君の名前は?」


え、私ですか。


何で副社長が私の名前を聞くの。


私の変わりに織原さん答えた。


「武井明日美30才、父親のコネで今日から受付嬢を勤める事になりました。」


年令は必要ないし、名前だけで良いはずでが。


副社長がマジマジと私の顔を見けど、知り合いではないと思います。


思わず後退りした。


こんなに近くに男性がいると思うと、ブルブル体とが震えだす。


この人の目が怖い。


































< 10 / 308 >

この作品をシェア

pagetop