30才の初恋
織原さんの態度の違いが笑いのつぼに入ったらしくて、もう止まらなかった。


何だか楽しくてたまらない。


「何を笑ってるの。私は武井さんをバカにしてるのよ。分かる。」


はい、はい、分かってますよ。


きつい女性は大の苦手だから、笑って誤魔化す事にしてるんです。

今までもずっとそうして、自分を守って来たから大丈夫。


「すみません、緊張すると笑ってしまう癖があって、あの別に意味はないんです。」


織原さんが鼻で笑ったのが分かった。


「武井さんって、本当に気持ち悪い女ね。」


お好きに言って頂いて結構ですから、私もあなたみたいな女大嫌いです。


織原さんは何回もキモい女と言い続けた。


ヤだ、又昔を思い出してしまいそう。


《おまえキモい、あっちに行け!俺に近づくな。》


小学生だった彼に言われた、酷い言葉。


こんな所で泣いたら駄目だ。


あの頃の私と違う。


自分に何度も言い聞かせた。


こんな事に絶対負けたりはしない。


悔しくてたまらないけど今は耐えるしかないと思った。



















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