30才の初恋

迷路

あの日以来何事もなく、穏やかな毎日を送っていた。




ベンツは修理せず、ポルシェに買い替えた。




ベンツには飽きたらしい。



お金持ちのする事は理解出来ない。



結局斗真から離れられないでいる。




ベンツをボコボコにした代償に、秘書の仕事を全うしようと決めのだ




副社長のどんな横暴にも耐えてみせる。




近頃、金山さんの姿をよく見かけるが、会社で何か問題でも起きたのだろうか。



「明日美、金山と出かけるから、おまえは同行しなくていい。」




え、いいの、まだ16時なのに。



「今日はもう帰っていいから、たまにはゆっくり休め。」




ここ二三日、副社長の様子がおかしい。




妙に優しいと言うか、私に近づいて来ない。




きっと何かあったんだと思う。



仕事、それとも女性問題か?



女の勘は鋭いんだから、私を甘く見ないでほしい。たとえ女性問題でも、私には関係ない。



関わりたくもない。




今日は早目に帰ろう。













< 122 / 308 >

この作品をシェア

pagetop