30才の初恋
無言のままでいると宗次郎が話しかけて来た。


「どうしても明日美と話したかった。今から保育園に娘を迎えに行くから、付き合ってくれよ。俺が美味しい飯食わせてやるからさ。」


ちょっと待ってよ、宗次郎が娘を迎えに行くのに私が付いて行くわけ。


宗次郎とは20年ぶりに会って、宗次郎の娘に会った事もないのにおかしいでしょ。


どうして、斗真みたいに強引なの。


いくら考えても納得がいかない。


「宗次郎、車止めて!」


本当に車が止まった。


「明日美下りて、もう保育園に着いたから。」


やだ、絶対下りない。


なんなのよ。


「子供みたいにただこねてるの。奈歩が待ってる。」


奈歩?


「奈歩は俺の娘、今日は3才の誕生日なんだ。明日美一緒祝ってやってくれないかな。」


そう言う事でしたか。


何もプレゼントするものを持ってないし、突然は困るよ。


「奈歩ちゃんの誕生日パーティーするんでしょ。プレゼントがないよ。」


「いいんだよ。明日美がプレゼントだからね。」


?????


私がプレゼントって。


昨日で30才になった私がプレゼントって、どういう事ですか。


品物でない私をプレゼントするとは、どう考えてもおかしいでしょ。


宗次郎さんは何を考えてるのかな。
























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