30才の初恋
自分で化粧するなら、早起きしないと無理だ。


早起きはやだし。


「明日美姉さん、今日も可愛いね。昨日は早速男と会ってたらしいな。」


兼太郎、にうるさいよ。


この二人にまんまと騙された感あるし。


あの斗真が何を考えるのか分からないから、よけいに不安にもなる。


さぼろうかな、なんて考えてると。


「受付嬢って若くて可愛い子がいるんだろ。」


そうなんです。


その中に30才の私がいるんだから。


「悪かったわね、30で可愛くないオバサンが受付嬢で。」


兼太郎があり得ないと笑い出した。


兼太郎笑い過ぎだから。


「受付嬢は座ってるだけだろ。楽な仕事だな。」


本当にウザい男だ。


会社まで兼太郎に送って貰うと、偶然宗次郎に会った。


もしかして、私を待っていたのかな。


「明日美おはよう。昨日はありがとう。奈歩が凄く喜んでた。これ奈歩からのプレゼントのお返し。」


奈歩ちゃんからのお返しは私を書いた絵だった。


嬉しい。


こんな嬉しいプレゼントを貰った事がないよ。


又涙が溢れた。


化粧がくずれたかも。


「明日美、昼飯一緒に食おうぜ。」


いいんだけど、リカさんに悪い気がする。


「リカさんも誘っていいかな。」


構わないと言われ、その事をリカさんに伝えると喜んでくれた。

リカさんとは仲良くしたいし。


副社長は出勤すると、受付の私の所までやって来た。


どうして、ざわざ受付まで来る訳ですか。















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