30才の初恋
今度は真辺麻耶が私を追いかけて来た。




「ちょっと待ちなさいよ!」



あなたに何も話すことなどない。



顔も見たくないのに、話なんて絶対無理だ。




「あんた逃げるの好きみたいだけど、いつもそうやって現実から逃げるダメ子なんだ。」




真辺さんにそんな事言われたくない。




早く帰ってよ!




「あんたさぁ、本当は斗真が好きでしょ?たけど斗真は私のだから諦めてね。じゃ又来るわ。負け犬の明日美ちゃん。」




悔しい、真辺さんにあんな事言われたくない。




負け犬?逃げ足の速い犬?



昨日からろくな事がない。



お腹が空いた昼食を取ろう。



受付に戻り、リカさんと社員食堂へ向かった。



宗次郎と一緒に昼食を食べる事をすっかり忘れていた。




リカさんと食堂で昼食を食べていると、宗次郎と何故か副社長も来た。




顔も見たくないのに、私たちのテーブルに座る。




「副社長が食堂に来るなんて珍しいですね。」




斗真が私を見たから、あっちにいけと目で合図をした。




なのに堂々と私の向え側の席に、斗真は座った。








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