30才の初恋
もう逃げたりしない。宗次郎の気持ちを考えると、いい加減な返事は出来ない。




20年前のトラウマを乗り越えて、前に進むんだ。




「話しは終わったのか?」




私が頷くと、又泣いたのか?と私の涙を斗真が指で拭う。




「泣き虫明日美ちゃん、帰るぞ。」



奈歩ちゃんが斗ちゃん帰らないでと、泣きだした。




「奈歩、我が儘言ったら斗ちゃんと会えなくなるぞ。」




うん、分かったと言いながら奈歩ちゃんは斗真にチュとキスをする。




奈歩ちゃん、中々やるね。



口を開けてバカみたいに見ていた私の唇に、斗真がキスした。



な、な、なんで私にキスする訳?




バカなアホ面が可愛いからついね。なんて笑う。



信じられない。




宗次郎も奈歩ちゃんも、大胆な斗真の行動に固まったまま。




斗ちゃんの浮気者、又奈歩ちゃんが泣き出した。




私も泣きたい。




斗真、あんたは何を考えてるの?




言葉にしてくれなきゃ、私は分からないよ。



宗次郎の告白と、斗真のキスで、恋愛初心者の私の頭の中は爆発寸前だった。













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