犬と猫…ときどき、君


家に帰る途中の道でも、家に帰ってからも、振り向いた瞬間、後ろに立っていた胡桃の困ったような笑顔を思い出しては頭を抱えて。


「ハルキ先生ー、昨日、先生が帰ったあと、気持ち悪い電話がいっぱいきたんですよー!!」

「どんな?」

「男の人の声だったんですけど、胡桃先生はもう帰ったのかって、何回かかかってきて」

「……それで?」

「“まだいます”って言ったのに、切れちゃうし」


次の日の、ミカちゃんのその一言で、「私の方が少しだけ運がいいみたいですよ」――あの松元サンの言葉が大嘘で、自分が騙されていたことに初めて気づいたりもして。


どうしてこんなに、壁が多いんだろうなぁ……って、自分が招いた事なんだけど。


「蟻地獄にはまった蟻の気分って、こんなんかなー」

ランから見上げる空は真っ青で、すごく高い。


先に進んでいるのか、進んでいないのか。

それさえもよく分からないけど、立ち止まっていても、何も変わらないのだけは確かだから。


「取り合えず、やれる事からやるしかないか」


ランまで響く、胡桃とアニテクの楽しそうな笑い声を聞きながら、俺は今日も、あきらめ悪く足掻こうとする、もう一人の自分を押し殺すんだ。


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