面倒くさい恋愛劇場
 「今週月曜日の夜に、ジムの前で待っていたのは?」
 「? 今週の月曜は、さっき話した友人にプレゼントを渡してご飯をご馳走になって家に帰っただけですけど」
 「…………友人の家って、どこにあんの?」
 「空ヶ丘です。駅まで歩くと遠いからバスに乗って帰ったんですけど。あ、ほら、行列の出来るシュークリーム屋さんの入っているビルの辺りに友人の家があって」

 そこまで言うと、彼は諦めたようにため息を付いた。

 「そのシュークリーム屋さんの入っているビルの3階にジムがあるんだ。……そっか、離れたところに立ってたのは、バスを待ってたからだったのか」
 何かに納得したかのような声に、ああ、とわたしも頷く。
 「…………バス、しばらく来なかったから、待ち伏せしてるように見えたかもしれないですけど。」
 
 (……最初の2つは、わたしも相手がいることに気付いていたけど、最後のは全くの偶然なんだけどなぁ)
 自分でも、行動パターンが似ているだけにしては、偶然が多すぎるような気もするけど。

 まだ、信じてもらえないかと、下から恐る恐る視線を合わせようとすると、いきなり彼はしゃがみこんで顔の半分を手で覆った。
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