彼氏の余命を知ってる彼女。
…そうだよね。それが普通だよね。
彼氏の方の言葉を聞いて、パンを食べるのをやめ、私はテレビの前で立ち尽くす。
──もし、私が誰かを殺してヒカルが生き延びたとしても、ヒカルは私から離れていく。それどころか、お母さんやお父さん、身内にまで迷惑がかかってしまう。
私は…人を殺すなんて…出来ない。
「テレビは離れて見なさい。目、悪くするわよ」
グッと強く拳を握りながら唇を噛み締めていると、お母さんがリビングへと入ってきた。