≡ヴァニティケース≡

「そうよ。アイツがいけないのよ! だからクロージングもガタガタになっちゃったんだわ。そうだ、一言文句を言ってやるっ!」


 混ぜ過ぎでぬるくなった甘い液体を胃に流し込むと、乱暴な動作で伝票を持ち、慌ただしく席を立った。テーブルに活けられたフリージアの花が、ゆらゆらと首を揺らして美鈴に笑い掛けている。


「みんなあいつの所為なんだからっ!」


 美鈴は急いでプールバーへと向かった。ひとこと言ってやらなければ、気が済まなかったからだ。



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