桜ちる
冬桜

上り口近くに冬櫻が咲いていた。
温かい日を一つ一纏えるほどの花の数であった。
相沢と信二は其其の花束を持ち、
二人が自殺していた暗峠を上り、
奈良の玄関口と言われた石畳の道を歩き、
少し逸れたところに、
二人が座ったままで大量の睡眠薬を飲んで死んでいた処に供えた。
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