桜ちる

相沢は久しぶりに会った石井の瞳に見たものが、
櫻子や昌子と同じであった事に昼間に気付いていた。
知りたくないことであった。   

石井を抱きしめたくなったから。

「そんなこととは知らずに乱暴で配慮に欠けていた」

「貴方は素敵だった」

石井麻奈は顔を赤らめた。

「有難う」

「神戸で会った彼女を愛していたのね」

「正直に言えば、今も愛している。忘れられない。
 昼間に会っただろ。あの小森がいなかったら、
 多分アルコール中毒か何か事故かで死んでいたな。
 一歩手前まで行った」

「死に後に行くなって言うわね。前妻が忘れられないから」
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