桜ちる

耳元で櫻子の声が聞こえた。

幸せ。でも仕事は天職よ。

見送りの櫻子を又ベットに運んだ、あの朝の声が木霊する。
そして、
櫻子の最後の言葉は行ってらっしゃいであった。

夜に散る花びらは直ぐに闇に消えない。

白さを増した後に消えていく。

又来年の桜が見たいと思った。

櫻子の物を返す気になれるだろうか。

櫻子の部屋を訪れる気になるだろうか。
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