桜ちる
闘う女
翌日、麻奈から電話があった。
昼からのつもりでいたが、
昼ごはんを作ってあげると言って、相沢の所に来るつもりでいた。
住所を言うとすでに知っていると言った。
彼女を傷つけるだけのように思ったが、ありのままでいることにした。
「実は、この棟ではないけどここに二年いたのよ」
「そうだったのか。それで何を作ってくれるのかな」
「鍋よ。まだ大丈夫な季節でしょう」
「誰でもできるな。僕の方が上手いのでは」
そんなことを言いながら、鍋を出した。
麻奈が滅多に料理をしたことがないのは見えていた。