桜ちる
闘う女

翌日、麻奈から電話があった。
昼からのつもりでいたが、
昼ごはんを作ってあげると言って、相沢の所に来るつもりでいた。
住所を言うとすでに知っていると言った。
彼女を傷つけるだけのように思ったが、ありのままでいることにした。

「実は、この棟ではないけどここに二年いたのよ」

「そうだったのか。それで何を作ってくれるのかな」

「鍋よ。まだ大丈夫な季節でしょう」

「誰でもできるな。僕の方が上手いのでは」

そんなことを言いながら、鍋を出した。
麻奈が滅多に料理をしたことがないのは見えていた。
< 180 / 250 >

この作品をシェア

pagetop