桜ちる
再び

二日目には気になって仕事が手に附かなかった。
土曜日を待ちかねて病院を訪ねた。
リハビリ室を覗き見して、さり気無く病室で待った。
やはりあの時は、弱っている相沢に調子を下ろしていたのだろうか。
勇気が必要であった。

車椅子の音がした。看護師に押されて、賑やかに相沢が帰って来た。

「おお。来たか」

可愛い感じの看護師は、
麻奈に軽く挨拶して相沢に手を貸してベッドに移した。
彼は横にならないで腰を掛けた。

「薬は決まった時間に飲んでくださいね」
「確か飲ませてくれるって言たのじゃ」

軽口を言いあい楽しそうであった。
手を振って看護師は出て行った。
< 203 / 250 >

この作品をシェア

pagetop