桜ちる
余呉の湖
小森信二は、昌子の実家のある、余呉を訪ねた。
余呉湖の近くの農家であった。
小森の運転で、古株の鼓刑事を乗せていた。
「脇野昌子は養女だ。幼いときに両親を亡くして
貰われて来ている。義母は叔母になるらしい。
姉が結婚して家を出て、妹が養子を貰い後を継いだ。
それが三年前に丁度行方不明になる三ヶ月前だな。
義父が青酸を飲んで余呉湖に身投げしている。
原因不明だが、昌子のアリバイは完璧だ。
とてもここまで来る時間がない上に理由が無い。
妻のキクも近所の手伝いに行っていたので
村のみんながアリバイの証人だと」