桜ちる
元妻は、相沢が公務員だから結婚まで進んだと思った。
安定を求めたのであろう。
しかしそれだけでは不足であった。
彼女は公務員でも職種を選ぶべきであった。
二人は殆どその夜は眠らず愛し合い
話をして明け方に少し眠った。
櫻子が目を覚ますと、相沢が櫻子の寝顔をじっと見ていた。
「急いで生きないでくれ。私とゆっくり生きよう」
相沢はまるで櫻子がどこかに行ってしまうかのように
抱き寄せてそう言った。