桜ちる
晩夏光

余呉から帰った櫻子は
相沢の願望で一緒に暮らし始めた。

相沢の部屋で暮らして一月余り経った。

久しぶりに自分のアパートに帰り
郵便物を持ってエレベーターの前に立つと
後から小森信二の声が聞こえた。

「おい、家に帰っていたのか」

「元気そうね」

「お前もな。なんか眩しいな。
 昌子が目撃されてお前にも話を聞きたかったから丁度良かった」

櫻子は以前とどこか違った。
もう小森の手が届かないところに居る感じが濃く出ていた。

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