桜ちる


「本当に昌子だったの」

「そうだな。逸れも繋がり一つない男の部屋から出てきたなんて
 可笑しいよな」

「ええ。誰か他の人よ。御免私急いでいるから」

「又家に帰るのか」

櫻子はある意味家と言えるので頷いた。
信二は着替えに帰って
駐車場から櫻子を見かけて引き返してきたのだ。

櫻子とゆっくり話がしたかったが、相棒の鼓刑事を待たしていた。

櫻子の母親を事情聴取して
櫻子の家が何代にも亘って裕福である事を知った。
いつも学生らしい服装や持ち物であったので
信二は気が付かなかった。

櫻子も急いでいた。
一度ゆっくり会うことを約束して別れた。
< 89 / 250 >

この作品をシェア

pagetop